よくある遺言Q&A①
よくある遺言に関してのご質問をまとめました。(随時追加中)
Q:未成年者でも遺言することができますか?
A:遺言は未成年者であっても15歳に達した者であれば可能です。
Q:認知症などの成年被後見人が遺言をすることはできますか?
A:成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時に医師2人以上の立会いがあれば遺言をすることはできます。 さらに立ち会った 医師は遺言者が遺言をする時に事理弁識能力を欠く状態になかったことを遺言書に付記し、署名押印することが必要です。
また、被保佐人、被補助人であれば単独で遺言をすることができます。
なお、認知症が悪化した高齢者の場合は、遺言者の病状が重く、遺言の意味や内容、遺言の意義を理解しることができない状況で作成された遺言として無効になる可能性があります。
Q:遺言書の保管場所はどうすればいいですか?
A:遺言書を保管するときに大事なことは、遺言者が死亡した後、速やかにかつ確実に発見されることですが、遺言書は大事なものだからといって、簡単に発見されないような場所に保管しておくと、せっかく作った遺言書が発見されない恐れがあります。
また、逆に発見されやすい場所に保管しおくと、自筆証書遺言書などは盗難・偽造・変造される心配もあります。
残念ながら、「この保管場所が一番」という場所は存在しないのですが、実際の保管場所としては、自宅では金庫や鍵の掛かる引き出し、たんすの奥といったところになると思います。
「自宅では不安」という方は、遺言書を貸金庫に預けるとか、信頼できる人に預かってもらうという方法もあります。行政書士などの専門家が遺言書の作成に関わっている場合は、専門家に預かってもらうというのもいいでしょう。
それぞれの家庭の事情に合わせて、最も安全と思われるところに遺言書は保管してください。
Q:付言事項(法定外事項)とは何ですか?
A:付言事項とは、法律に定められていないことを遺言書で付言する事項のことをいいます(法定外事項)。法律に定められた事項(法定遺言事項)についてされた遺言は法的な効力を有しますが、付言事項については法的な効力を生じません。
付言事項としては、種々さまざまなものがありますが、いくつかの例を挙げれば、次のようなものがあります。
①葬式や法要の方法を付言すること
②死後に角膜・腎臓などを医学のために提供すること
③遺体の処置方法を付言すること
④家業の発展、家族の幸福の祈念を付言すること
⑤親族・兄弟姉妹間の融和を付言すること
⑥家訓などの遵守を付言すること
付言事項は、内容が法的拘束力を持たないので、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言にしたほうが、遺言者の強い意思が遺族に伝わり、トラブルが起こりにくくなるでしょう。
Q:遺言書を作成する際に印鑑の代わりに、拇印でも問題ありませんか?
A:過去の判例では、拇印を押した自筆証書遺言も有効であるとされていますが、やはり印鑑(実印が望ましい)を自分で押印した方が良いでしょう。
Q:日付の違う2つの遺言が出てきた場合、どちらが有効でしょうか?
A:2つの遺言の内容が矛盾しない場合は、両方とも有効です。矛盾する場合は、後の日付の遺言により、前の日付の遺言が取り消されたものとして扱われることになっています。
Q:遺言書を部分的に訂正する場合、どうすればいいですか?
A:訂正の場合は、改ざん防止のため、厳格にやり方が定められています。まず訂正する個所を二本線で消し、その横に訂正後の文言を記入します。さらに訂正個所に印鑑を押し、欄外に「~行目、~字削除、~字加入」と記載し、かつ署名しなければなりません。
間違うと無効になってしまいますので初めからすべてを新しく書き直す方が良いでしょう。
Q:家庭裁判所の「検認」手続とはどのようなものですか?
A:遺言書の検認とは、偽造や変造を防ぐために、家庭裁判書がその遺言の内容や方式等を調査し、遺言を確実に保存するために行う手続です。
封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いをもって開封しなければなりません。
公正証書遺言以外の遺言書がある場合には、遺言者の死後、開封をする前に、直ちに家庭裁判書に遺言書を提出し、検認手続を受けなければなりません。
Q:一度書いた遺言は取消しができますか?
A:遺言者は遺言をいつでも自由に取消し、書き換えができます。
新しく遺言を作成してその中で『前の遺言を取り消す』と書く方法のほかに、前に書いた遺言と抵触する新しい日付の遺言をするなど取り消す方法はいくつかあります。
Q:遺言書に相続財産の記載漏れがある場合、その相続財産の取り扱いは?
A:遺言書に記載されていない相続財産は、遺言書がない場合と同じ扱いになります。
被相続人の死亡により相続人の共有財産になり分割協議等により相続が進められます。
相続財産が多い場合は、被相続人が遺言書作成の時に相続財産の記載漏れが発生する可能性もあるので、紛争防止の為に記載漏れを想定した文言を使うことをお勧めします。