遺言の種類
遺言書の方式は、大きく二つに分かれます。
1)普通方式・・・自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類
2)特別方式・・・一般危急時遺言、難船危急時遺言、一般隔絶地遺言、船舶隔絶地遺言の4種類
大半が普通方式の遺言で行われますので、ここでは普通方式の3種類をご紹介いたします。
自筆証書遺言とは
自筆によって決められたルール(本人の署名・押印、正確な作成日付など)さえ守れば気軽に作成でき、費用もほとんど掛かりません。しかし、パソコンで作成したり、大きな間違いがあったりすれば無効になります。 また、遺言書を書いた後に紛失したり、変造されるという事態も考えられます。
遺言者の死後、遺言書を家庭裁判所に持参し、相続人や代理人立会いのもとで開封し、検認という手続きを受けなければいけません。ちなみに、遺言書を見つけて勝手に開封すると5万円以下の過料が科せられます。
そして、検認を受けて開封したとしても人名や財産、その割合について間違いがあったり、不明慮で特定できない場合などは、有効なものになるかどうかわかりません。また、相続人から遺言書の真贋を問われ、無効を主張されるなど争いになる可能性もあります。
自筆証書遺言のメリット
●手軽でいつでもどこでも書ける
●費用がかからない
●誰にも知られずに作成できる
自筆証書遺言のデメリット
●不明確な内容になる可能性がある
●形式の不備で無効になりやすい
●紛失や偽造・変造、隠匿のおそれがある
●家庭裁判所での検認手続が必要である
公正証書遺言とは
遺言者が証人2人と立会いのもとで公証人に口述し、筆記してもらった後に、全員が署名・押印することにより作成されます。その原本は公証人役場に20年間保管されます。
もし、病床にあり公証人役場に出向くことができない場合、費用は掛かりますが、公証人に出張してもらうことも可能です。
公証人役場での手続きが必要となり、費用(手数料)も発生しますが、自筆証書遺言や秘密証書遺言のように検認手続きは不要です。
また、正式な公文書としての扱いになりますので、きっちりとした遺言を残すことができるもっとも良い方法になります。
公正証書遺言のメリット
●公文書として、強力な効力をもつ
●家庭裁判所での検認手続が不要
●死後すぐに遺言の内容を実行できる
●原本は公証役場に保管されるため、紛失・変造の心配がない
公正証書遺言のデメリット
●証人が2人必要
●費用がかかる
秘密証書遺言とは
自分で作成した遺言(パソコンや代筆でもOK)に署名・押印したのち、自分で封印し、封書に本人・公証人・証人2人の署名、押印をすることによりその遺言の存在を公証人に証明してもらう方法です。
遺言の内容を誰にも知られず、自分の死後に遺言の存在を証明できますが、やはり自筆証書遺言と同様に内容に問題があったり、紛失の恐れもあるでしょう。また、公証人手数料も必要です。
また、遺言書の開封は家庭裁判所で検認手続が必要になり、秘密証書遺言の方式は現在ではほとんど使われていません。
秘密証書遺言のメリット
●遺言書の内容を秘密にできる
●遺言の内容を知られることによる、トラブルを予防できる
秘密証書遺言のデメリット
●公証人が内容を確認できないため、遺言が無効になるリスクがある
●証人が2人必要
●費用がかかる